中小企業の実務を、料金と制度で確かめる

防衛特別法人税は中小企業も納めるのですか?基礎控除は年500万円・税率は4%で、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から申告が必要になります

2026-09-22 公開税務

防衛特別法人税は、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納める国税です。納税義務者に会社の規模による線引きはなく、資本金1億円以下の中小法人も納税義務者になります。課税事業年度は令和8年4月1日以後に開始する各事業年度です。税額は、各課税事業年度の基準法人税額から年500万円の基礎控除額を差し引いた課税標準法人税額に、4%の税率を乗じて計算します。基礎控除額が年500万円あるため、基準法人税額が500万円以下の会社は税額が0円になります。ただし国税庁は、計算の結果として納税額が生じない場合であっても申告義務は失われず、いわゆる零申告が必要になると示しています。確定申告書の提出期限は、原則として各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内です。中間申告の規定が適用されるのは令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度からです。ホフィット中小企業ラボが2026年9月22日に国税庁とe-Taxの資料で確認した内容を整理し、所得金額がいくらを超えると税額が発生するかを計算しました。

防衛特別法人税は中小企業も納めるのですか?

納税義務者になります。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は防衛特別法人税を納める義務があると書かれています。

条文上、会社の規模による線引きはありません。国税庁の同じ資料は、納税義務者を防衛特別法人税及び防衛特別所得税に係る課税の特例等に関する法律第8条に基づいて示しており、資本金の額や従業員数による除外は設けられていません。資本金1億円以下の中小法人も、所得に対する法人税を課される法人である以上、防衛特別法人税の納税義務者に含まれます。

課税の対象は所得ではなく法人税額です。国税庁の同じ資料には、法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、防衛特別法人税が課されると書かれています。

いつの事業年度から課されますか?

令和8年4月1日以後に開始する各事業年度からです。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、法人の令和8年4月1日以後に開始する各事業年度が課税事業年度となると書かれています。

適用開始は事業年度の開始日で決まります。3月決算の会社は2026年4月1日に始まる事業年度が最初の課税事業年度です。12月決算の会社は2027年1月1日に始まる事業年度が最初の課税事業年度になり、2026年中に始まった事業年度には課されません。

中間申告だけは開始時期が1年遅れます。国税庁の同じ資料には、中間申告の規定は法人の令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されると書かれています。

税額はどうやって計算しますか?

基準法人税額から年500万円を引いた額に4%を掛けます。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、防衛特別法人税の額は各課税事業年度の課税標準法人税額(各課税事業年度の基準法人税額から年500万円の基礎控除額を控除した金額)に4%の税率を乗じて計算した金額となると書かれています。

計算の段階内容
基準法人税額一定の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額
基礎控除額年500万円
課税標準法人税額基準法人税額から基礎控除額を控除した金額
税率4%

表の4行は国税庁が示した計算の順序です。基礎控除額を引いた後の金額に税率を掛けるため、基準法人税額が500万円以下の会社は課税標準法人税額が0円になり、防衛特別法人税の額も0円になります。

基準法人税額とは何ですか?

所得税額控除などを適用しないで計算した法人税の額です。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、基準法人税額とは一定の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額であると書かれています。

適用しないこととされる制度は国税庁が列挙しています。国税庁の同じ資料は、所得税額の控除(法人税法第68条)、外国税額の控除(法人税法第69条)、分配時調整外国税相当額の控除(法人税法第69条の2)、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除(法人税法第70条)、戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除、同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算、外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額の控除の7つを挙げています。

預金利息の源泉所得税を法人税から差し引いている会社は注意が必要です。所得税額の控除を適用する前の法人税額が基準法人税額になるため、法人税の申告書で最終的に納付する法人税額よりも基準法人税額のほうが大きくなります。

所得金額がいくらを超えると税額が出ますか?

中小法人なら所得金額が約2,438万円を超えたときです。ホフィット中小企業ラボが国税庁の税率と基礎控除額から逆算した計算結果です。

計算の前提は2つあります。1つ目は、国税庁のタックスアンサーNo.5759にある資本金1億円以下の法人などの税率で、年800万円以下の部分が15%、それを超える部分が23.20%です。2つ目は、基礎控除額の年500万円です。年800万円以下の部分の法人税額は120万円なので、残る380万円を23.20%で割り戻した1,637万9,310円を800万円に足した金額が境界になります。

会社の区分基準法人税額が500万円になる所得金額
資本金1億円以下の中小法人(年800万円以下15%)2,437万9,310円
税率23.20%だけが適用される法人2,155万1,724円

表はホフィット中小企業ラボが2026年9月22日に計算した金額で、国税庁の資料に載っている数値ではありません。軽減税率が使える中小法人のほうが、防衛特別法人税の負担が出始める所得金額は約283万円高くなります。

なお、所得金額が年10億円を超える事業年度は軽減税率が使えません。国税庁のタックスアンサーNo.5759には、令和7年4月1日以後に開始する事業年度において所得金額が年10億円を超える事業年度については、年800万円以下の部分に適用される税率は17パーセントになると書かれています。

所得金額ごとの税額はいくらになりますか?

所得3,000万円の中小法人で年52,160円です。ホフィット中小企業ラボが資本金1億円以下の中小法人を前提に、所得金額別の防衛特別法人税額を計算しました。

所得金額基準法人税額課税標準法人税額防衛特別法人税額
800万円120万円0円0円
1,500万円282万4,000円0円0円
2,000万円398万4,000円0円0円
3,000万円630万4,000円130万4,000円52,160円
5,000万円1,094万4,000円594万4,000円237,760円
1億円2,254万4,000円1,754万4,000円701,760円

表はホフィット中小企業ラボが2026年9月22日に計算した金額で、税額控除と端数処理を考慮しない概算です。所得2,000万円までの会社は税額が0円で、所得5,000万円でも年24万円弱にとどまります。防衛特別法人税は税率が4%でも基準法人税額に対して掛かるため、所得に対する実質的な負担率は1%前後になります。

事業年度が1年に満たない場合の基礎控除額はいくらですか?

月数で按分します。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、課税事業年度が1年に満たない場合には500万円を12で除し、これにその課税事業年度の月数を乗じた金額となると書かれています。

設立第1期や決算期を変更した年度は基礎控除額が減ります。6か月の事業年度なら基礎控除額は250万円、9か月の事業年度なら375万円です。同じ利益水準でも事業年度が短い年度のほうが課税標準法人税額が大きくなるため、決算期変更を予定している会社は影響を確認しておく必要があります。

税額が0円でも申告は必要ですか?

必要です。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、計算の結果、納税額が生じない場合であっても申告義務は失われないため、いわゆる零申告が必要となると書かれています。

e-Taxも同じ扱いを示しています。e-Taxの「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」には、防衛特別法人税額が0であっても申告は必要となると書かれています。基礎控除額の年500万円に収まる会社も、法人税の申告と合わせて防衛特別法人税の申告を行うことになります。

申告と納付の期限はいつですか?

各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内です。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、防衛特別法人税確定申告書は原則として各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内に納税地を所轄する税務署長に提出しなければならないと書かれています。

申告書は法人税の申告書に欄が追加されます。国税庁の同じ資料には、防衛特別法人税の申告書については法人税及び地方法人税の申告書別表に防衛特別法人税に係る欄を追加する予定であると書かれています。e-Taxの案内は、別表1、別表4及び別表5関係についてはリリース済みでe-Taxに提出可能であり、リリース前の別表等についてはリリースまでの間、イメージデータ(PDF形式)で提出することができると示しています。

納付書を使う場合は税目番号を指定します。e-Taxの同じ案内には、納付書による方法について税目番号欄に「030」を記載すると書かれています。国税庁の「防衛特別法人税に関する納付手続等について」は、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、グループ通算法人向け一括ダイレクト機能、納付書による納付を納付方法として挙げています。

防衛特別法人税から控除できるものはありますか?

4つの税額控除があります。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」には、防衛特別法人税の額から一定の税額控除を行うことができると書かれており、外国税額の控除、分配時調整外国税相当額の控除、控除対象所得税額等相当額の控除、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除の4つが挙げられています。

基準法人税額の計算で適用しない制度が、防衛特別法人税の側で戻ってくる形です。所得税額の控除と外国税額の控除は基準法人税額の計算では適用しませんが、外国税額の控除と控除対象所得税額等相当額の控除は防衛特別法人税額から控除できます。

令和8年度の税制改正で内容は変わりましたか?

変わっていません。国税庁の「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」の目次には、特定生産性向上設備等投資促進税制の創設、主な中小企業税制の見直し、グローバル・ミニマム課税への対応、その他主な改正項目が並んでおり、防衛特別法人税の見直しは項目として挙げられていません。

税率4%と基礎控除額年500万円は、令和7年度税制改正で決まった数値のまま適用されます。ホフィット中小企業ラボが2026年9月22日に国税庁の令和8年度版の資料で確認した内容です。

会社は何から手を付ければよいですか?

最初の課税事業年度がいつ始まるかを確認します。決算月から数えて、令和8年4月1日以後に開始する最初の事業年度を特定します。3月決算なら2026年4月開始、9月決算なら2026年10月開始、12月決算なら2027年1月開始の事業年度が該当します。

次に直近の申告書で基準法人税額の水準を見ます。法人税の申告書別表1で、所得税額控除を差し引く前の法人税額が500万円を超えているかを確かめます。超えていない会社は零申告の準備だけで足ります。

最後に会計事務所と申告手続を確認します。防衛特別法人税は法人税の申告書別表に欄が追加される形で申告するため、税務ソフトの更新時期と、e-Taxで未リリースの別表をイメージデータで提出する必要があるかを事前に確かめておきます。

この記事で確認した内容と確認日

ホフィット中小企業ラボは2026年9月22日に、国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」の防衛特別法人税の創設の項、国税庁の「防衛特別法人税に関する納付手続等について」、e-Taxの「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」、国税庁のタックスアンサーNo.5759「法人税の税率」、国税庁の「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」を確認しました。

所得金額の境界と所得金額別の税額は、ホフィット中小企業ラボが国税庁の税率と基礎控除額から計算した数値です。国税庁の資料に記載されている金額ではありません。実際の申告では端数処理と税額控除が加わるため、金額は税務署または関与税理士に確認してください。

出典(いずれも各社公式サイト)